ダミアン・ハーストとラリックは、ハーストの着想をラリックの職人技術による精巧なクリスタルで実現したオブジェとパネルからなるアート作品のシリーズを2015年に発表、2017年には第2段をコレクションに加えました。
時が止まり、生命と美、死と混沌がクリスタルの中で凍りつく。― これは1980年代後半以来、ハーストの作品の中心を形成し続けているテーマであり、ハーストはこのコラボレーション作品で生命のサイクルを象徴するような一連のモチーフを提示しました。
アーティストとメゾンの工房との協業は数年に及ぶもので、ハーストの追い求める芸術的コンセプトは高度な技術を持つ職人たちにより、伝統的かつ複雑な「シール・ペルデュ(ロストワックス)技法」を駆使した何百時間にもおよぶ作業を経て、クリスタルガラスの彫刻として完成しました。
パネル作品はフレームを装着し壁掛けとして、あるいはイーゼルを使って置き型でディスプレイすることが可能です。
ステンドグラスを思わせるクリスタルガラスのパネル作品は5種類のデザインで構成され、そのうち「エターナル・ビューティ」は蝶のイメージをクリスタルの中に永遠に閉じ込めています。
蝶はダミアン・ハーストの視覚言語の中心的な位置を占めており、彼は以下のように語っています。
「私は、蝶は魂であり、広義の視覚言語の一部であると考えており、常に蝶を普遍的なトリガーとして表現してきた。信じられないほどの抽象的な儚さと美しさゆえに、誰もが蝶を愛する。しかし、私が興味を惹かれるもうひとつの要素があり、それは蝶の持つキッチュなバースデーカードのようなイメージと、愛の力と、実際の昆虫そのものという現実との間にある緊張関係だ。
それは、愛、欲望、信念、永遠といった言葉にできないものを表現するために、私たちがどのように自然を利用しているかという興味深い事例となっている。これはかなり古くからある着想で、蝶はキリスト教の図像学では復活の象徴であったし、古代ギリシャでは魂の象徴として使われてきた。
生前も死後も同じように見える蝶が、このパネルに光が差し込むと、どういうことか生き返ったように感じられるのが私はいつも気に入っている。」
Eternal Beauty, Damien Hirst & Lalique
クリアクリスタル
3,493,600円(税込価格)
2017年にコレクションに加わった新たな作品「エターナル・プレイヤー」は、ハーストの2008年の作品「The Immaculate Heart」(穢れのない心臓)を想起させます。鳩の翼によって飛び上がる雄牛の心臓がそれを貫く短剣によって引き下げられるイメージを与える、ダミアン・ハースト作品の象徴的なモチーフです。
Eternal Prayer, Damien Hirst & Lalique
ブラッククリスタル
4,392,300円(税込価格)
レッドクリスタル、プラチナスタンプ
6,988,300円(税込価格)
子供の頭蓋骨を表現したクリスタルのオブジェ「エターナル・メモリー」は、等身大のプラチナ製の子供の頭蓋骨をピンクダイヤモンドとホワイトダイヤモンドのパヴェで飾った2008年のハーストの作品「For Heaven’s Sake」を想起させます。ハーストはこの作品で古典的なメメント・モリのイメージと、アステカの頭蓋骨や装飾を愛するメキシコの文化、そして彼らの死に対する考え方から得たインスピレーションを組み合わせて表現しています。
Eternal Memory, Damien Hirst & Lalique
ブラッククリスタル
3,493,600円(税込価格)
クリアクリスタル
2,635,600円(税込価格)
ダミアン・ハーストは1965年ブリストル生まれ、リーズ育ち。
1984年にロンドンに移り、建設業に従事した後、1986年から1989年までゴールドスミス・カレッジで美術の学士号を取得。2年次に「Freeze」と題したグループ展を企画・運営。この展覧会は、ハーストのみならず、一世代のイギリス人アーティストの出発点になったと一般に認められている。
1980年代後半から、ハーストはインスタレーション、彫刻、ペインティング、ドローイングなど多彩な手法で、アートと生と死の複雑な関係を探求している。 「アートは人生そのものであり、それ以外のものではありえない。」
1987年以来、ダミアン・ハーストの個展は世界中で90回以上開催され、1995年にはターナー賞を受賞した。ダミアン・ハーストはグロスターシャー、デヴォン、ロンドンを拠点に活動している。